LinuxとUnixの哲学
2025/04/01
プログラミングLinuxとUnix
Unixは、小型コンピュータでの利用が想定して、学術研究や開発などを目的に1969年に誕生したOS。歴史が古く、さまざまなOSの基盤となっている。
Linuxは、Unixを直接継承してはいないものの、UNIXの設計思想(哲学)に基づいて開発され、オープンソースという形で発展してきたOS。Unixの理念はLinuxによって現代に引き継がれ、より広範なユーザーと開発者によって進化を続けている。
Unix哲学の前提
UNIX哲学は、「ユーザーは自分が何をしているかを分かっている」ことを前提にしている。他のOSが初心者から専門家までの幅広いユーザーに対応しようと努めている中で、Unixは「理解できないなら、ここには属さない」という厳しい態度を取る。ユーザーの高い理解力を前提とすることで、システムの柔軟性や効率性を実現している。
Unix哲学の原則
Unix哲学は、「小さく、単純に、連携可能に」 という普遍的な設計思想に基づいていて、小さいながらも一つの機能を過不足なく実行するプログラムを組み合わせることで、複雑なシステムを柔軟に構築することを目指している。以下に、Unixの核心を成す9つの原則を示す。
1. 小さいことは美しい
各プログラムはできるだけ最小限の責任を持ち、余計な機能を背負わないようにする。小さなプログラムは理解しやすく、保守しやすく、再利用しやすい。
2. 1つのプログラムには1つのことをうまくやらせる
1つのプログラムは1つのことだけをするようにして、複雑さを回避し、意図の明確な設計になるようにする。単一責任の原則に通底する。
3. できるだけ早くプロトタイプを作る
理想的な設計よりも、まず動くものを作って試すようにする。アジャイル開発やリーン開発に通底し、実際の動作の確認、ユーザーからのフィードバックの反映、技術的負債の修正などが早い段階から実施できる。
4. 効率より移植性を優先する
高速化よりも移植性を優先し、プログラムが特定の環境に依存せず、どこでも動くするようにする。特定の環境に依存しない設計は、ソフトウェアの寿命を大きく伸ばすことに繋がる。
5. データはプレーンテキストで保存する
データは、人にも機械にも読みやすいようにプレーンテキストで保存する。バイナリ形式や専用フォーマットに依存せず、プレーンテキストを使うことで、cat
や grep
など既存ツールでの処理、将来のフォーマット変更、Gitなどの差分管理などが可能になる。JSONやYAML、TOMLなど、現代の設定ファイルもこの思想に根差している。
6. 再利用できるものは使う
ゼロからプログラムを書くのではなく、既存のものを組み合わせて使うようにする。再利用できるものを使うことで、問題を早く解決できるようになる。
7. シェルスクリプトを使って柔軟性と移植性を高める
プログラミング言語ではなくシェルスクリプトで処理を組み合わせて書くようにする。シェルスクリプトは、Unixの小さなプログラムたちを接着剤のように繋ぐ役割を果たすため、プログラミングの知識が浅くても自動化が可能になり、システム間の移植性が向上し、コマンド同士の再利用が促進されるようになる。
8. 過度な対話的インターフェースは避ける
対話的なUIを避け、非対話的に利用できるように設計されている標準入出力(stdin/stdout)を利用する。これによって自動化やバッチ処理による効率化が可能になり、他のプログラムとの連携が簡単になる。
9. すべてのプログラムはフィルタとして設計する
「入力→処理→出力」がすべての基本構造。プログラムをフィルタとして設計することで、プログラムを繋げるだけで柔軟な処理が可能になる。
Unix哲学は今も生きている
Unix哲学は現代でも、以下のような分野に広く影響を与えている。