伝え方入門
コミュニケーション
コミュニケーションは伝え手から受け手へ一方的に投げかけられるものではなく、文章などの表現物を媒介して行われる形になる。このように、コミュニケーションは「表現する」と「かかわる」という2つの橋を架ける必要があり、これがコミュニケーションを難しいものにする。とりわけ、第2の橋は多かれ少なかれ受け手次第のところがあり、受け手が見たくない、聞きたくないと思えばそれまでである。
伝え方の3原則
前述のコミュニケーションの構造を踏まえると、次のような伝え方の3原則が見えてくる。
伝え手が「伝えたいこと」を明確に意識し、一言で表現できる「誰に向けて」伝えるか受け手を明確に意識し、具体的にイメージできる伝え手と受け手の関係性(コンテキストや文脈を含む)の中で伝え手が「伝えたいこと」を受け手が「伝えられたいこと」へ変換する影響力を上げる6つの武器
名著『影響力の武器』をもとに影響力を上げる6つの武器と伝え方の3原則との関係性を以下に示す。
返報性
返報性は、何かをしてもらったらお返ししたくなる心理。伝え手と受け手の関係性に影響し、伝え手が先に何かをしてあげることで、受け手は伝え手にお返ししたいと感じる。一貫性
一貫性は、一貫性のある言動をとろうとする心理。受け手の行動を事前に予測しやすくなり、「伝えられたいこと」への変換が容易になる。社会的証明
社会的証明は、周囲の人が受容していると応じやすくなる心理。コンテキストや文脈に影響し、伝え手は社会的証明を利用することで、受け手がみんなが言っているから正しいと思うように誘導しやすくなる。好意
好意は、親しい人や好きな人からの要求には応じやすくなる心理。伝え手と受け手の関係性に影響し、受け手は伝え手に好意を持っていれば、伝え手の話を聞きたいと感じる。権威
権威は、有名な人や実績のある学者の意見を重要視する心理。伝え手と受け手の関係性に影響し、伝え手に権威があれば、受け手は伝え手の話を聞く必要があると感じる。希少性
希少性は、希少なものには価値があると感じる心理。コンテキストや文脈に影響し、伝え手は希少性を利用することで、受け手がそのメッセージに価値があると感じるように誘導しやすくなる。メッセージの陳腐化
言語であれば「敬意逓減の法則」にみられるように表現が使い古されることによって、マーケティングであればターゲットの刈り取りが一巡することによって、あらゆるメッセージは時間の経過に伴って陳腐化し、効力を失っていく。その都度、「本当に伝えたいことは何か」、「誰に向けて伝えるのか」、「伝えてと受けての関係性の中でどのように価値を与えるか」を考えて、メッセージを創造する必要がある。
参考資料